Story of a day

日常をストーリーに

夢を叶えたらブラックだった⁉3

モモは不穏な空気を感じていた。 長年の苦労の果てに辿り着いた場所は、寂れた町の小さなオーケストラだった。 しかし、オーケストラの大小は、モモにとって正直どうでも良かった。 とりあえずどこかのオーケストラに就職するというのが、ずっと縛りつけられ…

夢を叶えたらブラックだった⁉2

6歳から始まった夢が叶ったのは、モモが30歳になったころだった。 その頃になると、両親の『夢』に対する関心は薄くなっており、『叶えること』への束縛だけがモモの心を支配していた。 そんな中、ようやく手にした成功に、モモは心底ほっとした。 『これ…

夢を叶えたらブラックだった⁉1

『こんなにも不条理なことってあるのかい?』 そう言うとモモは顔を両手で覆い、大げさに嘆いた。 青春時代を投げうって、ようやく叶えた『夢』。 その『夢』がブラックでハラスメントにまみれたいる場所だったなんて・・・。 そもそもこの『夢』はモモの夢…

今日は今日の風が吹く

季節が巡り、周りの景色が変わり始めると、旅立ちの合図がどこからともなくやってくる。 常に揺れ動いている風のカラダはふわりと持ち上がり、南へ、東へ、西へ、そして北へと飛び立っていくのだ。 そうして辿り着いた場所で、一つの季節を過ごす。 「風はい…

大掃除は突然に・・。

連休の最終日。 友人に会うわけでも、どこかに遊びに行くわけでも、趣味に時間を割くわけでもなく、気がつけばずっと、スマホと仲良くしていた。 しかし、そんな穏やかで自堕落な日々も、あと一日で終わってしまう。 そう思うと居ても立っても居られなくなり…