『こんなにも不条理なことってあるのかい?』
そう言うとモモは顔を両手で覆い、大げさに嘆いた。
青春時代を投げうって、ようやく叶えた『夢』。
その『夢』がブラックでハラスメントにまみれたいる場所だったなんて・・・。
そもそもこの『夢』はモモの夢ではなかった。
まだ夢やなりたい職業などなかった時、両親を喜ばせるためだけに言った、その場しのぎの『嘘』のようなものだった。
その幼いころの『嘘』に縛られ、取り戻せない『言葉』を背負ってきた。
そんな『夢路』は、苦悩と困難の連続だった。
モモは何度も辞めたいと思い、母に気持ちをぶつけたことも一度や二度ではない。
しかしその度に「辞めるなら今までかけたお金と時間を返せ」と言われてしまえば、モモにはもうどうすることも出来なかったのだ。
心のついていかない厳しい『プロ』への道のりは、鉛のように重い体で海を泳いでいるようなものだった。
常にやる『理由』を探して、必死に自分を鼓舞した。
『辞めたい』『辛い』『限界』だと泣きながら母に電話をし、それでも『母のために頑張る』とボロボロの心を立ち上がらせようとしたモモに、母が「嬉しい」と言った言葉は、絶望としてモモの心の中に深く刻まれた。
辞めたい、辞められない、才能がない、努力が苦しい、認めてもらえない・・・・
そんな気持ちと戦いながらも、モモは歯を食いしばって必死に踏ん張った。
我慢して、頑張って、ようやく・・・・。
モモは『夢』を叶えたのだ。
※このストーリーはフィクションです。